購入術
住宅を評価する「住宅性能表示制度
CHECK!!
●住宅性能表示制度はすべての項目が最高値である必要はない。
●住宅性能評価書は正規のマークが記載されているかをチェック。

 

 
マンション選びのチェックポイントは数々ありますが、大きな判断材料になるのが、【住宅性能表示制度】です。
これは、消費者を保護するために執行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき、2000年4月よりスタートした制度です。
売主の要請により、国土交通大臣から指定を受けた第三者機関が、定められた共通のルールに従って客観的に住宅の評価を行い、その住宅が販売されるときに、評価結果が表示されるというものです。
スタート時は新築住宅(一戸建て、マンション)が対象でしたが、2002年8月より、中古住宅も対象になっています。
第三者機関が住宅を評価するときに見るポイントは、
 
1、地震などに対する強さ
2、火災に対する安全性
3、柱や土台などの耐九性
4、配管の清掃や取り替えのしやすさ
5、省エネルギー対策
6、シックハウス対策・換気
7、窓の面積
8、遮音対策
9、高齢者や障害者への配慮
 
以上、9つの分野を同じ項目で評価し、たとえば、「耐震等級2」とか「単純開口率0%」などと、等級や数値で表示します。
そのため、買う側にとっては専門知識がなくても住宅の性能レベルがわかるのです。また、同じ基準で評価されるため、性能表示制度によって評価を受けたマンション同士を比較しやすく、マンション選びの判断材料にもなり得るわけです。
とはいえ、9つの分野のすべてが最高等級である必要はあるありません。すべての等級値を最高にするにはそれなりの費用が必要だし、9つの性能の中には、窓を広くして光、視環境をよくしようとすると、地震に対する強さの等級が下がる・・・・というように、相反する関係のものもあるからです。
どの性能を重視するかは、買う側の個人の問題でしょう。いずれにしても、住宅性能表示の制度を利用している自体が、売る側の物件に対する自信のあらわれととらえ、マンション選びの際のあんしん材料として、考えておきたいものです。

この制度を利用して販売され住宅にトラブルが起こった場合は、紛争処理機関が間に立って、すばやく解決策に乗り出す体制も整えられています。
この制度で評価された物件には、【住宅性能評価書】が交付され、売買契約書に添付されることになっています。
ただ、なかには、自社の評価書を添付するケースも・・・・。
正規の評価書には、設計段階で書類によって評価する「設計住宅性能評価」と、施行中に数回の検査を行って、完成時に評価する「建前住宅性能評価」の2種類があります。

いずれも、住宅性能表示制度に基づいて評価されたものには、共通したマークが記載されていますから、評価書にこれがあるかどうかもチェックしましょう。
 
住宅性能表示の9項目

建設性能評価
設計性能評価 既在住宅性能評価
 
クーリングオフについて知る
CHECK!!
●事務所以外で契約させられたらクーリングオフすることができる。
●契約解除の意思表示は、必ず内容証明と配達照明で。
 
マンションの売買契約は、宅地建物取引業者である不動産会社や販売会社の事務所、省令で決められた場所などで行われることが理想です。
しかし、これを無視して『購入者の購入意思が不安定な状況」で契約が行われたときは、契約解除ができるという決まりがあります。
これが不動産の「クーリングオフ」です。

「購入者の購入意思が不安定な状況」とは、決められた場所以外で売買契約が行われたことを表します。
たとえば、営業マンが自宅に押しかけてきたり、どこかのホテルや喫茶店などにあなたを誘って強引に契約を行った場合がこれに当たります。
ただし、買い主が自分の意思で自宅や会社を契約場所に指定した場合は、クーリングオフの対象外になってしまいます。
クーリングオフできる期間は、契約後8日間。ただし、クーリングオフできる旨を書いた文書が渡されてから8日間なので、こうした文書がないときや、
クーリングオフできるかどうか不明なときには、契約前に必ず確認しておきましょう。

この条件があれば、期間内なら購入者側は書面によって無条件で申込みの撤回や契約の解除ができます。
売主は損害賠償、違約金の支払いなどを買主に返さなければなりません。ただし、マンション購入代金の全部を支払って引き渡しを受けてしまった場合には、
契約解除はできません。
クーリングオフの意思表示は口頭では認められないので、必ず書面し、「内容照明」と「配達照明」にして出すといいでしょう。
内容照明とは、どういった内容の手紙をいつ出したかということを、配達照明は、その手紙がいつ相手に配達されたかを郵便局長が証明してくれるもの。これなら相手から、「そんな通知は受け取っていない」といわれる心配がないわけです。
クーリングオフの意思を表明する通知書をもらっておくのもいいかもしれません。

クーリングオフも、消費者契約法も適用を受けるには限られた条件があります。それをクリアするためには、営業マンと話し合ったことはすべて文書にしてもらいたい、証拠として残しておくことが必要です。あいまいな記憶だけでは、契約解除の対象にはなりません。
いずれにしても、営業マンの態度に不信感を持ったり、契約に強引さを感じたら、国民生活センターや消費生活センターに相談してみてください。
 
これからのマンション選び

2002年12月18日、東京地裁で東京都国立市の大学どおりに面したマンションに対する地元住民との訴訟で、業者に高さ20m超の部分の撤去を求める判決が言い渡されました。マンション建設をめぐるトラブルは数あれど、今までは特定行政庁の『建築確認」さえ取得してしまえば業者側が合法的に手続きをしているのだからと、地域住民の意見は聞き入れず、一方的に建設を進めるのが通例でした。

ところが、今回の判決では一変、原告側が勝訴しています。争点となったのは『景観価値」という考え方。長い年月をかけて地元住民が努力することで維持してきたその地域のイメージや良好な景観に対する価値が、マンションの建設によって損なわれたことが判決理由となっています。「マンション購入はエリアを買う事」といわれるように、建物内の居住者が快適な生活をしても、周辺住民が犠牲となっては良好な住環境はなしえないというわけです。

今後、都市再生融資の拡充などマンション建設の活性化が進んでいく反面、乱開発化する危険をはらんでいるといえるでしょう。それだけに、これからのマンション選びでは、建設業者と購入者、地域住民、自治体を含めた合意形成がどれだけなされているかが重要となっています。

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