全面的価格賠償の引換給付判決
全面的価格賠償を命じる判決が出されると、持分を失う側に対して持分を取得する側へ持分移転登記を命じ、逆に持分を取得する側に対して持分を失う側に代償金の支払いを命じる判決が出されます。
しかし、単純に持分移転登記と金銭の支払いを命じる判決を出すだけにすると、確定した持分を取得する側は登記を命じる判決を法務局に提出すれば持分移転登記をすることができるため(登記を命じる判決が確定すれば命じられた側が登記をする意思があるものと判断して命じられた側が登記申請をしなくても登記ができるようになります)、持分移転登記だけが行われて代償金が支払われないとうことにもなりかねません。
このように持分移転登記だけがされて代償金が払われないという不都合をさけるために、代償金の支払いを受けるのと引換えに持分移転登記を命じる判決を出すのが一般的です。これを引換給付判決といいます。
具体的には、不動産を取得する側が判決で決められた代償金を支払い、支払ったことを証明する書類を裁判所に提出して、裁判所から執行文という書面をもらって持分移転登記ができることになります。
通常の不動産売買での決済では、司法書士が登記に必要な書類がそろっていることを確認してから、最初に買主が売主に代金を支払い、売主が代金を受領(あるいは担保権者が担保権を抹消するのに必要な金員の受領)を確認した後で登記手続を行うという流れになっていますが、全面的価格賠償を命じる判決で引換給付がされる場合にもそれと似たような流れになります。
また、担保付不動産の全面的価格賠償の問題点についてはこちらもご覧ください。
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