担保付不動産の持分買取
持分買取の対象となっている不動産に抵当権などの担保権がついている案件も少なくありません。
担保権付不動産について全面的価格賠償を命じる判決を出す場合の代償金について、担保権の被担保債務額を差し引くべきかという問題があります。
具体的に2000万円の不動産で被担保債務1000万円の抵当権がついている場合に、2分の1の持分を持っている人が他の共有者から2分1を購入する場合に購入価格がいくらと鑑定されるかという問題です(ここでは別のページで述べた限定価格は考慮しないものとします)。
2000万円の不動産の2分の1だと1000万円ですが、被担保債務額1000万円を差し引くと実質1000万円の不動産となりこの2分の1だと500万円になってしまいます。
この点は裁判例で見解が分かれているのですが、被担保債務額は差し引かないとする裁判例の方が多いようです。
被担保債務を差し引かないで代償金を算定すると、上記の具体例では代償金は1000万円となります。
この被担保債務の債務者が不動産取得者であればさほど問題はないのですが、債務者でない側が不動産を取得した場合は問題があります。
持分を取得側とすれば担保がない前提で算出された代償金1000万を払って持分を購入した訳です。でも被担保債務1000万円の抵当権がついたままなので債務者が債務を支払わずに競売になってしまうと最大で1000万円の分配しか受けられないことになってしまい取得者にとってかわいそうな結果になってしまいます。
この点を考慮して、担保付不動産の全面的価格賠償において、無条件で持分移転登記を認め、抵当権が抹消されときに代償金を支払うよう命じた東京地裁平成20年12月18日の判決があります。
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